寿司屋の店舗内装工事で差別化を図るためのヒント
寿司屋といえば目の前で寿司を握ってもらえるという醍醐味があり、店舗内装もカウンターを備えるレイアウトにすることが多いです。そのため、同じようなレイアウトになることが多いのですが、店舗の特色を出すためには差別化を図ることも欠かせません。特色ある店舗内装を実現するためには、必要な部分と差別化できる部分を知ったうえで全体的なイメージを決定し、その店舗らしいコンセプトが感じられるようにすることが求められます。
多様化する寿司屋のスタイルは店舗内装にも表れる
寿司といえば少し値の張る料理であり、定番から旬の物まで取り揃えられた握りを中心に素材の味を楽しむ料理というイメージが強いかもしれません。しかし、現在では寿司屋でランチメニューを楽しみ創作和食の一環で寿司を食べるというのは珍しいことではありません。寿司以外も充実したカジュアルな回転寿司から職人が作る本格的な握りがメインの店まで、店舗によって食べ方もメニューも多様になっています。また、それとあせて各店舗がターゲットとしている客層にも違いがあり、単価が高くとも納得する食通の来客を想定した小規模な高級店もあれば、連休や冠婚葬祭で家族が集まった時に入れる寿司以外も充実したカジュアルな店舗もあります。こうした客層の違いは店舗内装にも反映されており、たとえば顧客当たりの単価が高い店であれば、カウンター席だけに絞った少ない席数でも利益になりますし、ファミリー向けの場合は大人数で利用でき、小さな子供でも座れる小上がり席や子供用の椅子を備えているでしょう。
寿司屋の顔はカウンターとショーケース
寿司屋の醍醐味といえば目の前で握られたばかりの寿司を食べるという点にあるので、職人と来客が対面できるカウンター席は欠かせない設備といえます。さらに、カウンターと並行してショーケースを設置し、その日使うネタが見える状態で保管されていることも少なくありません。しかし、このレイアウト次第で店舗の印象は大きく変わります。もし、寿司を握る工程から楽しんでほしいのであれば、視界を遮る設置物は無い方が良いですし、カウンターの構造も付け台を低くして職人の手元が見える設計にするのがおすすめです。ネタの鮮度やネタから注文を選ぶ過程を重視するのであれば、調理台とカウンターを隔てるようにショーケースを設置するのもよいですが、ケースに高さがあると品物の受け渡しがしづらくなるので、本体高さが低めの機種を選ぶか設置場所を低めに結成するのがよいでしょう。また、特注品になりますが、客単価高めの方針で営業するなら木製のショーケースを発注するのもひとつの方法です。
調理工程が見える店舗内装で食べる以外の楽しみを作る
来客の目の前で寿司を握るのは多くのすし屋が行う調理方法のひとつですが、厨房全体をオープンキッチンとして設計し、調理工程を見せることで来客に楽しんでもらうというのも寿司店における差別化の手法になります。特に活魚を提供している場合は必要に応じて魚をさばくところから調理が始まるので、オープンキッチンを採用すれば握る前段階からの工程を見せることも可能になります。ただし、生魚のドリップは衛生的に除去する必要がありますし、油ハネの予防や湯気あるいは煙を広げないといった安全管理は必須です。そのため、オープンキッチンを採用する場合も、コンロやフライヤーの設置場所は厨房の奥として、換気や清掃が行き届くようにしなければなりません。また、厨房全体が客席から見える構造だと常に厨房内を整理整頓し、清潔感が損なわれない工夫も必要です。したがって、オープンキッチンによる差別化を図るのであれば、働く人にとって使いやすい収納や、見栄えの良い収納をデザインすることも求められます。
寿司屋の店舗内装を差別化する中でも外せない設備
似た様なレイアウトになりがちな寿司屋の店舗内装ですが、客層やコンセプトによって使用する調度品や内装デザインを柔軟に変えれば、個性的な空間づくりは可能です。しかし、寿司を作る上で欠かせない設備はおよそ共通しているので、必須設備を踏まえながらレイアウトを進めることになります。中でも生鮮食品を扱う以上欠かせない冷蔵庫や冷凍庫は設備の中心になりますが、オープンキッチンやカウンター席に対面した調理スペースに設置する場合、若干の工夫が必要です。業務用の冷蔵庫や冷凍庫は全体が金属でできている物がほとんどなので、木材を活かしたコンセプトの内装とはあまり相性が良くありません。そのため、設置場所はカウンターの下のように客席から直接見えない場所にするのがおすすめです。また、寿司は手洗いや水洗いの機会も多いので、廃水処理に必須のグリストラップは邪魔にならない床下設置型が適しています。居抜き物件を利用する場合はそのまま使用できることもあるので、事前確認を忘れずに行いましょう。
客単価やメニューのコンセプトから店舗内装を考える
寿司屋の店舗内装は運営する上でのコンセプト、例えば客単価は高く席は少ない高級志向にするのか、あるいは寿司以外にも力を入れた創作和食を目指して広い客層にアプローチするのかといった点から、ステレオタイプ的なイメージを元に考えていく方法があります。例えば高級志向のコンセプトであるなら典型的な寿司屋らしいカウンターを基本に、ヒノキのような清潔感と高級感のある木材を取り入れた店舗内装や、個室の設置が考えられるでしょう。一方、カジュアルなランチメニューやパーティー向けのメニューを用意するのであれば、家族や友人で落ち着いて過ごせるテーブル席や大人数やお子様連れでも入りやすい小上がり席を設置し、純和風にこだわらない内装にするのもよい方法です。また、洋風なメニューを採用した和洋折衷のスタイルにするなら、あえてショーケースを置かずバル風のカウンターと洋食レストラン風のテーブル席を備えつつ和風テイストの調度品や照明を取り入れても個性的になるでしょう。
照明や調度品を活用して店舗内装を個性的に飾る
寿司屋の店舗内装は、握ってすぐに寿司を提供するといった特徴から、調理台と向かい合わせになったカウンター席とその他の席を備えるという定番のレイアウトになりがちです。また、清潔感と日本らしさを感じさせる木目調の内装にすることも少なくありませんが、調度品や照明の使い方で個性的な演出をすることは可能です。たとえば寿司がより魅力的に見える照明も定番ですが、吊り下げタイプの照明に和紙や竹細工風のランプシェードを合わせてモダンで和風なテイストにしたり、テーブルやカウンター上以外に照明を付けず、あえてバーのような暗さを作っておしゃれな雰囲気にしたりすれば、店舗内の印象は大きく変わります。そのほかにも、客席から見える場所に店の雰囲気に合った陶芸作品や日本画を飾るのも演出になります。中でも陶芸作品は武骨な物から繊細な物まで幅広いので、メニューの雰囲気や使っている器の雰囲気に近い物を飾り、和洋折衷や創作和食をメインにするなら、洋風な花の一輪挿しも似合うでしょう。
まとめ
寿司屋の店舗内装はカウンターとショーケースのように、提供する料理の特性から店内レイアウトが似通る傾向にありますが、提供する料理に合わせて内装のテイストは純和風から洋風まで広く応用することができます。内装工事の際は冷蔵庫など必須設備を確実に配置し、コンセプトに合わせたレイアウトをすることが大切です。店舗内装の差別化に悩んでいるなら照明器具や調度品に注目し、明るさや装飾といった面から個性を出すのもおすすめです。